N.RECSの構造

N.RECSは冷温水を製造・供給する空気熱源式ヒートポンプ冷温水システム、栽培槽、栽培槽への冷温水の供給を制御する冷温水制御装置からなっています。空気熱源式ヒートポンプ冷温水システムと冷温水制御装置は、既存の装置を使用しています。

N.RECSのポイントは、栽培槽にあります。栽培槽は、基盤となる発泡スチロール(EPS)製断熱パネルに加えて、アルミ製熱交換パネルとポット栽培の場合はEPS製断熱鉢カバーを使用します。

図1 N.RECSの基本構造

発泡スチロール製断熱パネルは幅15cmの端部材と幅30cmの中部材の2種類から構成されています。中部材を使わずに端部材だけを組み合わせると、幅30cmの栽培槽となります。中部材を連結すると幅30cm単位で栽培槽の幅を設定できます。

EPS製断熱パネルを栽培ベンチ上に設置し、その上にアルミ製熱交換パネルを敷きます。この熱交換パネルに冷温水を通す架橋ポリエチレンパイプ(PEXパイプ)を設置します。下の写真の赤いラインがPEXパイプです。冬季にはこのパイプに温水を通し、夏季には冷水を通します。熱伝導性の良いアルミパネルが使用されているため、パイプの熱が周辺部に迅速に広がります。また、アルミパネルは断熱パネルの上に置かれているため、アルミパネル下部からの熱の出入りが効率的に遮断されます。

土耕栽培を行う場合は、アルミパネルの上にビニールシートを敷き培養土を入れます。培養土の表面から水分の蒸発や熱の出入りを減少させるには、培養土の表面にマルチをかぶせることが有効です。

鉢栽培を行う場合は、鉢の側面からの熱の出入りを制御することがとても重要です。特に、夏季に鉢を冷却するには鉢側面への日射を遮断することが必須です。そのため、N.RECSではEPS製断熱鉢カバーを採用しています。この断熱鉢カバーのサイズは幅30cm、長さ108cm、高さxxcmです。一つのカバーに3.5号鉢が16鉢入る設計になっています。

この写真は幅1.2m、奥行き20mのN.RECSベンチに断熱鉢カバーを設置して3.5号鉢植えのペチュニアを栽培している様子です。1本のベンチに約1,000鉢の栽培が可能で、3つのベンチを独立して根域温度の調節ができる仕様となっています。