N.RECSによる根域冷却

耐暑性の低い植物への効果

ローダンセマムやフクシアは耐暑性の乏しい花き植物です。夏季には高冷地で栽培されるのが一般的ですが、今回は試験のため神奈川県藤沢市で栽培を行いました。温室内の最高気温は35℃を超えることも多く、最低気温は約25℃の条件で試験を行ったところ、普通栽培では約半数の株が枯死しました。生存した株も根の張りが悪く、地上部の生育も弱々しいです。一方、根域のみを23℃または20℃に冷却すると、株の枯死はほとんど見られませんでした。特に20℃冷却では、根の張りと植物の生育が著しく促進されました。高冷地においても温暖化の進行により、様々な植物の栽培が困難になりつつありますが、高冷地における高温対策にとても有効な手段として活用できます。

シクラメンの生育・開花促進効果

シクラメンは夏季の高温により花芽分化が抑制され、出荷時期が遅くなります。また、葉の徒長なども発生し、品質も低下します。そのため、暖地におけるシクラメン栽培では、一般に高温期にシクラメンを高冷地に移動させる山あげ栽培が行われていますが、株の移動と現地での株の管理に多大な労力がかかります。そこで、株を移動することなく、暖地の温室において高温障害が回避できれば非常に大きなメリットになります。そこで、6品種のガーデンシクラメンを用いて、神奈川県藤沢市の温室内において夏季に根域冷却を行いシクラメンの生育・開花について調査しました。その結果、根域を20℃に冷却した株では、無冷却のものに比べて明らかに生育が優れ、開花時期が大きく前進しました。

アネモネの生育・開花促進効果

夏季にアネモネを栽培しても根域を20℃に冷却することにより開花します。